大阪府寝屋川市の田中司法書士事務所では、相続、遺言、不動産登記、会社設立登記、成年後見などの業務を行っており、経験豊富な司法書士が法律相談を承っております。

借地借家法

借地借家法

借地借家法について

質問
借地借家法とはどのような法律でしょうか?

答え
借地借家法とは、建物の所有を目的とする地上権及び土地賃貸借、並びに、建物の賃貸借について適用される特別法のことです。
借地借家法は、土地や建物の賃貸借契約における借主を保護する目的で制定された民法の特別法であり、両当事者の実質的な平等を保障し、一般に弱い立場に置かれがちである借主の保護を図ったものです。

借地借家法(趣旨)
第1条 この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。

質問
どのような場合に、借地借家法は適用されるのでしょうか?

答え
「建物」の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権、建物の賃貸借には、借地借家法の適用があります。
したがって、もっとも、一時使用のために設定されたことが明らかな借地権については借地借家法は適用されません。

借地借家法(一時使用目的の借地権)
第25条 第3条から第8条まで、第13条、第17条、第18条及び第22条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。

質問
建物の賃貸借契約であっても、借地借家法が適用されない場合はあるのでしょうか?
答え
借地借家法は、「一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。」(借地借家法40条)と規定しています。
したがって、一時使用のために設定されたことが明らかな建物賃貸借契約については、借地借家法の規定は適用されません。
当該建物賃貸借契約が一時使用のためになされたことが明らかな建物賃貸借契約か否かの判断基準について、最高裁判所は、「必ずしもその期間の長短だけを標準として決せられるべきものではなく、賃貸借の目的、動機その他諸般の事情から、当該賃貸借契約を短期間に限り存続させる趣旨のものであることが、客観的に判断される」ことが必要である、と判示しています(最判昭36.10.10民集15巻9号2294頁)。

借地借家法(一時使用目的の建物の賃貸借)
第40条 この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。

建物賃貸借契約を締結するにあたって、建物を貸す際に注意すること

質問
私は建物を貸そうと思っているのですが、法律的にはどのような点に注意すればよいでしょうか?

答え
賃料の確保
賃貸人にとって重要な事は、賃料を確実にもらうことができるかどうかという事だと思います。
そこで、賃料を確実に確保するために、借主の親族等と連帯保証契約を結んだり、賃貸借契約の保証会社と連帯保証契約を結んだりすることが多いです。
賃貸借契約の内容としては、建物の目的物、建物の使用目的、契約期間、賃料の額と支払方法、賃料の増減額請求について、無断増改築の禁止、敷金礼金について、賃借権の譲渡転貸の禁止事項、契約解除に関する事項等細かく規定しておく方が望ましいです。

建物を借りる際に注意すること

質問
私は家を借りようと思っていますが、法律的にはどのようなことに注意する必要がありますか?

答え
貸主に、その建物を賃貸する権限があるのかについては確認しておく必要があるでしょう。
この点については、建物の所有者自身が賃貸人であればあまり問題はないと思われます。
賃貸人が建物の所有者以外の人の場合で、また貸しをする場合等には、その人に賃貸の権限があるのかについて確認しておく方がよいでしょう。
この場合には、所有者と貸主との間に転貸を認めているかどうかなどの確認が必要です。
なお、権限なく転貸が行われた場合には、不動産の所有者から明け渡しの請求を受けることにもなりかねません。
賃貸借契約の内容については、賃借人にとって、不利益な条項については、その意味内容を確認した上で、契約を結ぶ方がよいでしょう。
特に、退去の際には賃借人の費用でハウスクリーニングをかけるという条項や原状回復費用に関する条項、契約更新時に更新料を支払うという条項については争いが起こる事が多いです。
注意して下さい。

質問
賃料はどのようにして決めるのでしょうか?

答え
賃料の定め方には、大きく分けて(1)積算法(2)賃貸事例比較法(3)収益分析法の3つがあります。
①積算法 積算法とは、建物及び敷地の価値に賃貸人の希望する利回りをかけた額と必要諸経費(公租公課、減価償却費、維持修繕費、管理費、損害保険料、地代等)を足すことにより年間の賃料を計算する方法です。
②賃貸事例比較法賃貸事例比較法とは、地域性や広さ、設備等が類似している多くの事例を収集し、これらの賃料に個別的事情により賃料を加算したり減算して計算する方法です。
③収益分析法収益分析法とは、一般の企業経営に基づく総収益を分析して、対象の不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益に必要経費を加算して賃料を算定する方法です。

敷金、礼金とは

質問
敷金、礼金とはどのようなものですか?

答え
敷金とは、賃借人の債務(賃料債務等)を担保するために、貸主に予納される金銭をいいます。
予納された敷金は、賃貸借契約が終了し、賃借人の債務がなくなり、賃貸人に対して目的物を明け渡した後に返還されます。
しかし、賃借人に賃料の不払い等債務が残っておれば、賃貸人はその額を敷金から差し引き、その残額を返還することになります。
礼金とは賃貸借契約に際して、賃借人が賃貸人に対して支払う金銭をいい、法律的には贈与であると考えられています。
したがって、賃貸借契約が終了しても、賃借人は賃貸人に礼金の返還を請求することはできません。

質問
賃貸人の権利義務権限にはどのようなものがありますか?

答え
賃貸人の権利義務には次のようなものがあります。
権利
①賃料請求権
②賃貸人たる地位の譲渡権

義務
①目的物を使用収益させる義務
②目的物の修繕義務
③目的物に対する必要費等の償還義務などがあります。

義務の具体的な内容
①目的物を使用収益させる義務
②目的物の修繕義務
賃貸人は、賃借人に目的物を引き渡せば終りという訳ではなく、その用法に従って使用収益できる状態にしておく義務があります。
そこで、目的物に修繕の必要性があれば、賃貸人において目的物を修繕する義務があります。
③目的物に対する必要費等の償還義務
賃貸人は、本来賃貸人が支払うべき費用を賃借人が代わって支払った場合には、賃借人にその費用を返還する義務があります。
これを必要費償還義務と言います。
また、賃借人が賃借物について、改良を施し、賃借物の価値を増加させるために費用を支出した場合について、その増加した価値が賃貸借契約終了時に現存する場合に限り、賃借人が支出した額または不動産の価値増加額を支払う義務があります。
これを有益費償還義務といいます。

質問
賃借人の権利義務にはどのようなものがありますか?

答え
賃借人の権利義務には次のようなものがあります。
権利
①目的物の使用収益権
②目的物に対する必要費等の償還請求権

義務
①賃料の支払義務
②目的物の保管義務
③目的物の用法遵守義務
④目的物の返還義務などがあります。

義務の具体的な内容
①賃料の支払義務
②目的物の保管義務
賃借人は、善良な管理者の注意をもって賃借目的物を保管し、使用する義務を負います。
③目的物の用法遵守義務
賃借人は目的物を、賃貸借契約で定めた用法以外の用途によって使用収益してはならない義務を負っています。
④通知義務
賃借人は、目的物に修繕の必要性が発生した場合や他人が権利を主張してきた場合には、賃貸人にその旨を通知する義務があります。
⑤修繕協力義務
賃借人は、賃貸人が目的物に必要な修繕をする場合にはこれを拒むことができません。
⑥目的物の返還義務
賃貸借契約が終了した場合には、目的物を返還する義務があります。
この場合、賃借人は賃借物に設置したものを取り外し、賃借物を原状に戻す義務を負います。

建物賃貸借契約中 賃料の増額、減額を請求できる場合

質問
賃料の増額や減額は、どのような場合に請求できるのでしょうか?

答え
賃料の改定については、次のような事情が考慮されます。
(1)目的物に対する固定資産税や都市計画税、修繕費用等の租税やその他の費用負担の増減。
(2)土地若しくは建物の価格の上昇、下落
(3)その他の経済的な事情変動
目的物の需要と供給の変化や経済の好況不況、インフレやデフレを指します。
(4)近傍同種の目的物の借賃料との比較
このような事情等を考慮して、現在の賃料が不相当となったときに、賃料の増額・減額を請求することができます。

質問
わたしが借りている建物は、建築されてから相当の年月がたっており、屋根や壁、畳などが
かなり損傷しています。
この場合、家主に対して修繕を請求することができますか?

答え
家主の修繕義務については、一般的に目的物たる借家をその用法に従って借家人に使用させるのに通常の支障をきたす損傷があれば、家主の修繕義務があるといえるでしょう。
しかし、判例では借家に居住の用にたえないほど、または、居住に著しい支障を生じるほど修繕の必要性がある場合に限り、家主が修繕義務を負うとしたものもあります。
したがって、少なくとも借家の損傷が使用することに著しい支障をきたすものであれば、家主に対して修繕請求をすることができるでしょう。

賃借人が敷金から賃料を差し引いてもらうことができるのか

質問
私はお店を経営していますが、最近景気が悪く賃料を支払うのが大変です。
そこで、賃料を支払わずに、
賃貸借契約の際に支払った敷金を賃料に充当したいのですが、できるでしょうか?

答え
あなたの考えは、賃料支払い義務と敷金返還請求権を相殺してしまうということです。
判例では、賃借人側から敷金返還請求権と賃料支払い義務を相殺することはできないとしています。
これは、敷金返還請求権は賃貸借契約が終了し、賃借人が目的物を賃貸人に返還して初めて発生するものだからです。

賃借権の譲受と前賃借人が差し入れた敷金について

質問
私は、建物の賃貸人たる地位を譲り受けることになりました。
この場合、前の賃貸人に差し入れられていた敷金はどのような扱いになりますか?

答え
敷金とは、賃貸借関係をめぐる賃借人の債務を担保するものです。
判例では、借家人保護の立場から、賃貸人たる地位の承継と共に敷金に関する権利義務も当然に新賃貸人に承継されるとしています。
当然い承継されるということは、新旧の賃貸人の間で敷金について清算がされたか、されていないか関係が無く敷金契約が引き継がれるということです。

賃借権を譲り受けると、前賃借人の未払賃料をしはらわなければならないですか

質問
私は、賃借権を譲り受けることなったのですが、前の賃借人が賃料を支払っていませんでした。
私は、前の賃借人の賃料を支払う義務がありますか?

答え
前の賃借人が延滞していた賃料は、前の賃借人の債務なので、法律上あなたには支払う義務がありません。
もっとも、賃借権の譲渡には賃貸人の同意が必要です。
一般的には、賃貸人が賃借権の譲渡を認める代わりに、延滞賃料を支払ってほしいと言ってきます。
したがって、賃貸人が承諾しなければ賃借権の譲渡ができない以上、賃借権の譲受人は前の賃借人の延滞した賃料を支払はなければ賃借権の譲渡を認めてもらえないう結果になるものと思われます。

建物の転貸(又貸し)について

質問
私が借りている借家を、海外旅行期間中の1年間に限って友人にこの借家を貸したいのですが貸せますか?

答え
家主の同意を得ずに無断で借家をまた貸しすれば(これを転貸といいます。
)、家主は賃貸借契約を解除することができます。
そこで、借家を又貸したい場合には、まず、家主の同意、承諾が必要となります。
家主の同意、承諾があれば適法に借家を又貸しすることができます。

賃借人が死亡した場合
質問
私達夫婦は借家に住んでいます。
私が賃借人として賃貸借契約していますが、
私が死亡した場合、妻はこの借家に住み続けることができますか?

答え
人が死亡した場合、その人の権利義務は、その人のみに帰属する権利、いわゆる一身専属権を除いてすべて相続人に受け継がれます。
あなたの場合はあなたの妻に対して賃借権が相続されることになりますので、あなたの妻は、あなたが死亡後もその借家に住み続けることができます。

賃借人が2人いる場合に、一方に対して賃料の全額を請求することができるのか
質問
私は、マンションを兄弟二人に貸しています。
賃貸借契約も2人と契約しております。
しかし、先日兄の方が転職をきっかけに引っ越しをしました。
私は、弟に対して、賃料を全額請求することができますか?

答え
賃借人の賃料債務は、不可分債務と考えられています。
債務が不可分債務であれば、債権者は、債務者の一人に対して債務の全額を請求することができます。
従って、あなたは弟に対して、賃料の全額を請求することができます。

建物賃貸借契約の更新

質問
建物賃貸借契約の法定更新とは、どのようなことでしょうか?

答え
建物賃貸借契約の期間は、その契約した期間の満了により終了し、再度の合意により契約を更新しない限り、建物を賃貸人に返さなければなりません。
しかし、賃貸人が契約更新に合意しない場合には、賃借人は住むところが無くなってしまい、建物から出て行かなければならないことになります。
そこで、借地借家法は、賃貸人が契約更新に合意しない場合でも、次の場合には同一条件のもと、契約が法律の規定に従って当然に更新されるという、いわゆる法定更新の制度を定めています。
法定更新
①賃貸人が賃貸期間満了の6か月から1年前までに契約を更新しない旨の通知をしない場合。
なお、通知をしても、当然に賃貸借契約が終了するとは限りません。
②そのような通知があったとしても、借家人が期間満了後も居住を継続し、賃貸人がすぐに異議を述べない場合
法定更新されれば、従前と同一の条件で契約が更新されるというものです。
ただし、法定更新の場合、更新後の契約期間は、期限の定めのないものとなります。

質問
賃貸借契約の更新の際に、更新料を支払う必要はあるのでしょうか?

答え
必ずしも支払わなければならないものとは思われません。
そもそも更新料の支払い義務を定めた法律はなく、契約内容によります。
そして、平成23年に更新料について争われた裁判では、更新料の支払い契約が有効の判決もあれば、無効の判決もあります。
ただし、これは借地借家法と消費者契約法に照らして判決がでておりますので、どちらの法律も適用がなければやはり当事者の契約内容になるものと思われます。
個別の事案により判断しなければならないものと思われます。

参考
更新料の請求が有効とする判例 大阪高裁H21.10.29判決
更新料の請求が無効とする判例 大阪高裁H21.8.27判決他

賃借人が相続で代替わりした場合、更新料を支払う必要がありますか?

質問
建物を賃借してお店を営業していたのですが、父が亡くなり私が経営を引き継ぎました。
そうすると、突然賃貸人から「賃借人が変わるのであれば、更新料を支払ってほしい」と言ってきました。
賃貸借期間はまだ残っているのに更新料を支払わなければならないですか?

答え
更新料を支払う必要はないものと思われます。
それは、今回はお父さんの賃借権を相続しているからです。
そして、その賃貸借契約期間がまだ残っているからです。
相続は、お父さんの一身専属権を除きすべての権利義務を承継します。
従って、建物賃貸借契約の更新の問題にならないと思われるからです。

夫名義の借家で妻が賃借人となった場合、名義書き換え料を支払わなければならないですか?

質問
夫が行方不明になってしまったのですが、大家さんが「奥さんが賃借人となったのだから名義書き換え料を支払え」と請求されました。
私は、名義書き換え料を支払わなければならないですか?

答え
名義書き換え料を支払う必要はないものと思われます。
賃貸人は、夫から妻に賃借人代わった。
つまり賃借権の譲渡があったけれども賃借権の譲渡には賃貸人の同意が必要である。
だから、賃借権の譲渡を認める代わりに、名義書き換え料を支払え。
」と言っていると思われます。
しかし、夫から妻に対してほんとうに賃借権の譲渡があったかどうかは疑問です。
夫が行方不明になったからと言って、即時に賃貸借契約が終了するわけでもなく、現在でも夫との契約は残っているものと思われます。
また、突然夫が行方不明になったのであれば、夫から妻への賃借権譲渡は無かったと思われます。
従って、あなたには名義書き換え料を支払う必要はないと思われます。

建物賃貸借契約の終了

建物賃貸借契約の終了にはどのような場合がありますか?
質問
建物賃貸借契約が終了するのはどのような場合ですか?

答え
建物賃貸借契約が終了する場合には、主に次のような場合があります。
① 合意解約による終了
合意解約とは、建物賃貸借契約の当事者が契約関係を終了させる合意をすることです。
合意解除の場合には貸主の承諾を得て又貸しした場合等、適法な転借人に対しては賃貸借の終了を主張することができない場合があります。
② 期間満了による終了
契約期間満了による終了とは、予め定められた賃貸借契約期間が満了することによって、終了する事をいいます。
ただし、借地借家法の適用がある場合には、期間が満了するだけでは賃貸借契約は終了せず、賃貸借契約を終了させる場合には、賃貸人に契約の終了に関しての正当事由が必要とされます。
③ 法定解除による終了
法定解除による終了とは、賃借人の債務不履行などの理由により賃貸借契約を解除することにより契約を終了させる事をいいます。
法定解除の事由としては、①賃借料の不払い、②賃借権の無断譲渡、転貸③賃借物の無断増改築④賃借物の用法遵守義務違反⑤賃借物の保管義務違反などがあります。
ただし、生活の基盤をなす建物を目的とする賃貸借契約なので、これらの事由があったとしても、即時に解除できない場合もあります。

合意解約による契約の終了にはどのような事由がありますか?

質問
建物賃貸借契約を合意解約する場合、どのような点に注意が必要ですか?

答え
転借人との関係
合意解約とは、建物賃貸借契約の当事者が契約関係を終了させる合意をすることです。
したがって、いつでも自由にすることができます。
ただし、貸主の承諾を得て又貸しした場合等、適法な転借人に対しては転借人の利益を奪うことになってしまうため、合意解除による賃貸借の終了を主張することができない場合があるので注意が必要です。
建物賃貸借契約を合意解約する場合には、明渡しの時期、原状回復の範囲・程度、敷金の返還について、残置物があった場合の処置、明渡しが遅れた場合のペナルティ等についても合意しておいた方がよいでしょう。

法定解除による信頼関係破壊理論とはどのような理論ですか?

質問
賃貸借契約では信頼関係破壊理論というものがあるそうですが、どのようなものですか?

答え
賃貸借契約は、賃貸人と賃借人との良好な信頼関係のもとになりたつものである。
したがって、少々の賃借人の債務不履行があっても信頼関係を破壊しない程度の債務不履行では契約を解除することができないという、つまり賃貸人、賃借人の信頼関係を破壊するに足りないぐらいの債務不履行では契約の解除はできないという理論です。
明文の規定はありませんが、判例上認められている理論です。
賃貸借契約は、売買契約のような1回的な取引ではなく、一度締結すると長期間に契約関係が存続する継続的契約関係であるので、賃貸人、賃借人の信頼関係を基礎としています。
その信頼関係が破壊されたと認められるときに、初めて賃貸借契約の解除ができるということです。
判例が賃貸借契約において信頼関係破壊理論を主張しているのは、賃貸人による安易な契約の解除によって建物賃借人の生活の基盤である住居が奪われないようにするためであると思われます。

法定解除による賃貸借契約の終了

信頼関係破壊① 賃料不払いによる契約解除
質問
建物賃貸借契約において、賃借人に賃料不払いがあった場合には賃貸借契約を解除することができますか?

答え
建物の賃借人が家賃の不払いがあったときは、貸主は賃貸借契約を解除できます。
ただし、賃貸借契約上は1回の賃料不払いにより即時に賃貸借契約を解除することができる旨の条項があっても、1回や2回の賃料不払いによって貸主借主の信頼関係を破壊するに至らない特段の事情がある場合には、契約の解除は認められないものと思われます。
どのような場合に、信頼関係を完全に破壊したといえるかについては、賃料不払いの回数や、不払いの額、賃借人側及び賃貸人側の事情及び言動などの諸事情が判断材料となります。
借家の場合であれば、6ヶ月月程度の賃料不払いで解除は認められると思われます。
2ヶ月分の賃料不払いでも契約解除を認めた判例もあります。

賃料不払いによる契約解除手続き
賃料不払いにより、信頼関係が破壊された場合には、賃貸人は相当の期間を定めて賃料を支払うよう催告したのちに、賃借人がその期間内に賃料を支払わない場合には契約を解除することができます。
なお、賃料支払いの催告は、通常内容証明郵便等を使って行うのが望ましいです。
賃料を支払えとの催告には相当の期間を定めて行う必要がありますが、賃料不払いでは1週間から10日もあれば相当な期間ということがいえるでしょう。

信頼関係破壊② 賃借権の無断譲渡転貸による契約解除
質問
賃貸人に無断で賃借権の譲渡や転貸がなされた場合、賃貸人は賃貸借契約を解除することができますか?

答え
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ賃借権を譲渡したり、賃借物を転貸したりすることはできません。
従って、賃借人が賃貸人の承諾を得ずに第三者に賃借権を譲渡したり、賃借物を転貸した場合には、賃貸人は賃貸借契約を解除することができます。
しかし、無断譲渡・転貸といえる場合でも、賃貸人に特に不利益を与えることがない場合等、信頼関係を破壊するに至らない、背信行為と認めるに足らない特別の事情がある場合には契約の解除は認められません。
つまり、賃借人の違反行為が信頼関係を裏切って賃貸借関係の継続を困難ならしめるような著しく信義に反するものであるときは、賃貸人は契約を解除することができます。

民法(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

信頼関係破壊③ 用法遵守義務違反による契約解除
質問
建物の賃借人が、賃貸借契約で定めた目的以外の使用方法で建物を使用収益している場合、
賃貸借契約を解除することはできますか?

答え
賃借人は賃貸借契約で定められた使用方法にしたがって建物を使用収益すべき義務があります。
賃借人に用法遵守義務違反があれば、これを理由に契約を解除できます。
たとえば、住居として利用するために貸しているのに、お店を開いたり、工場にしてしまったり、事務所として利用するという契約なのに小売店や飲食店を始めてしまった場合は用法遵守義務違反といえます。
賃借人の使用方法の遵守義務は賃料支払義務と同様重要な義務なので、その違反は契約解除をすることが出来るほどの大きな違反となります。
しかし、ここでも信頼関係破壊理論が適用され、信頼関係を破壊するに至らない、背信行為と認めるに足らない特別の事情がある場合には契約の解除は認められません。
つまり、賃借人の違反行為が信頼関係を裏切って賃貸借関係の継続を困難ならしめるような著しく信義に反するものであるときは、賃貸人は契約を解除することができます。

民法(借主による使用及び収益)使用貸借契約の規定を賃貸借契約に準用(民法616条)
第594条 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。
2 借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。
3 借主が前2項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。

信頼関係破壊④ 無断増改築による契約の解除
質問
賃貸人に無断で、建物を増改築した場合、賃貸借契約を解除することができますか?

答え
借家人は、賃借物の引き渡しを受けた後、返還をなすまで建物を善良なる管理者の注意義務をもって保管する義務があります。
いわゆる善管注意義務に違反して増改築がなされた場合は契約違反となりますから、賃貸人は賃貸借契約を解除することができます。
しかし、借家人も使用収益する必要上、限度にもよりますが、借家の改良ないし増改築は家主としても受忍すべき場合があります。
そして、ここでも信頼関係破壊理論が適用され、信頼関係を破壊するに至らない、背信行為と認めるに足らない特別の事情がある場合には契約の解除は認められません。
つまり、賃借人の違反行為が信頼関係を裏切って賃貸借関係の継続を困難ならしめるような著しく信義に反するものであるときは、賃貸人は契約を解除することができます。

民法(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第400条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

期間満了による賃貸借契約の終了

質問
建物賃貸借契約で定めた賃貸期間が満了した場合には、当然に賃貸借契約は終了するのですか?

答え
建物の賃貸借契約であり借地借家法の適用を受ける場合には、期間満了により当然に賃貸借契約が終了するとは限りません。
当事者が期間満了の1年前から6か月前までの間に相手方に対して更新しない旨の通知又は条件を変更しなければ更新しない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件賃貸借期間は定めがないものとされますで更新したものとみなされます。
ただし、賃貸借期間は定めがないものとされます。
また、上記のような通知をした場合であっても、建物の賃貸借期間が満了した後、建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも更新したものとみなされます。
そして、賃貸人による通知又は異議の申し出は、正当事由がなければ、賃貸借契約は終了せず、やはり従前と同一条件で賃貸借契約が更新されたものとみなされます。

手続き的な要件は①更新拒絶をすること②更新拒絶に対し正当事由が存在することです。
①期間の定めのある借家契約では借家契約を終了させるためには貸主は期間満了前6か月前から1年前に借家人に対し更新拒絶の意思表示をすることが必要です。
更新拒絶の意思表示が期間満了前6か月を経過した後になされた場合には、その更新拒絶は解約申入れとしての効力を生じ、その解約申し入れから6か月経過で終了します。
なお、更新拒絶の意思表示をしても期間満了後に賃借人が建物の使用、収益を継続する場合に、貸主が借家人に対し遅滞なく異議を述べない場合には借家契約は更新したものとみなされます。
②更新拒絶のために「正当の事由」が必要です。
正当の事由とは、賃貸人が契約の更新をせずに、賃貸借契約を終了させ、建物の返還を受けるのがもっともであるという事情をいいます。

借地借家法(建物賃貸借契約の更新等)
第26条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。
ただし、その期間は、定めがないものとする。
2 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
3 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

(解約による建物賃貸借の終了)
第27条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。
2 前条第2項及び第3項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。

(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。
以下この条において同じ。
)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

更新拒絶、解約申入れの正当事由

正当事由① 正当事由の必要性
質問
建物賃貸借契約の更新拒絶や解約申入れに正当事由が必要とされるのはなぜですか?

答え
期間満了や特別な事情がない場合であっても、賃貸人の裁量によって賃貸借契約を終了させてしまう事が無いように、賃貸借契約の解除権の乱用を制限をしているものです。
そして、適正な賃貸借関係の継続を目指すものです。

正当事由② 正当事由存在の判断基準
質問
更新拒絶、解約申入れについての「正当の事由」とは、どのような事情を考慮して判断されますか?

答え
正当の事由素材の判断基準
①建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情
②建物の賃貸借に関する従前の経過
③建物の利用状況
④建物の現況
⑤建物の賃貸人が建物の明け渡しの条件として又は建物の明け渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出等が考慮されます。
借地借家法(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。
以下この条において同じ。
)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

正当事由③ 正当事由が不要な場合
質問
更新拒絶、解約申入れについて、賃貸人に「正当の事由」が不要な場合はありますか?

答え
次のような場合には正当の事由は不要と思われます。
①一時使用目的の建物賃貸借契約や定期借家契約の場合
②債務不履行等により信頼関係が破壊された場合
③合意解約等が考えられます。

正当事由④ 立退料について
質問
賃借人に立退料を支払えば正当の事由は満たされますか?

答え
正当の事由と立退料の関係
立退料は賃貸借契約の更新拒絶や解約申入れに際し、賃貸人に必要な「正当の事由」が不十分な場合に、その賃貸人に不足している正当事由を補完する要素として考慮されます。
したがって、立退料を支払う必要性の有無はもちろん、支払う場合にその金額がいくらになるのかは、賃貸人の事情、賃借人の事情をはじめとし、賃貸借関係をめぐる様々な事情によって影響を受けることになります。
つまり、正当事由が十分に満たされているのであれば、立退料は少なくて済み、場合によっては不要な場合もあります。
逆に正当事由が不十分であれば立退料を大きくして、正当事由を補完することになります。
しかし、立退料を支払うことだけでは、正当事由が満たされず、賃貸借契約を終了させることができない場合もあります。
立退料がいくらになるのかというのは、正当事由の存否の判断を前提として算定されることになりますので事情により異なり、一概にいくらと算定したり計算できるものではありません。

正当事由⑤ 賃貸人側の自己使用が必要となった場合①
質問
建物の賃貸借において、賃貸借契約の更新を拒絶するためには正当な事由が必要と聞きましたが、自己使用の必要性から、居住用建物の賃貸借契約の更新拒絶をした場合、正当な事由として認められるでしょうか?

答え
正当事由の有無の判断正当事由の有無は賃貸借関係を総合的に考慮して判断されますが、一般に居住目的の賃貸建物の場合、建物を自ら使用する必要性は重視される判断要素と考えられており、自己使用の必要性がある場合には正当事由が有ると判断される場合が多いです。
これに対して賃貸人側の自己使用の正当事由を否定する賃借人側の事情としては、賃借人が高齢であるとか病身である場合などです。
そして、貸主側としては立退料の提供によって、正当事由を補完できる場合があります。
ただし、立退きをめぐる紛争が生じた場合、個別の事情が大きく影響しますので、立退料の額や正当事由の有無の判断は個別の事情により判断されます。

正当事由⑥ 賃貸人側の自己使用が必要になった場合②
質問
賃貸期間は3年間とし、但し大阪勤務の期間だけ、東京に転勤になった場合は立退いてもらうという賃貸借契約を結びました。
そして、東京に転勤になり、今は家族でアパートを借りて生活しております。
賃借人とは期間3年の契約を何回か更新してきており、現在の契約期間の満了の半年前に更新拒絶の申し入れをしました。
しかし、Aさんは応じてくれません。
私は立退料を支払う必要がありますか?

答え
一時使用のための賃貸借であることが明らかである場合には、賃貸人が解約申入れをするにつき正当事由が不要になります。
今回は一時使用のための賃貸借といえるかが問題となります。
賃貸借契約では大阪勤務の期間に限って賃貸し、東京勤務になったときは建物を明渡すようになっていましたが、契約が何度も更新されている場合は、仮に当初は一時使用の契約であっても、長い間賃借人が居住している以上、現在は一時使用の契約と考える事は難しいと思われます。
したがって、一時使用を理由とする立退き請求はできず、正当事由がなければ解約申入れをすることができないと思われます。
そして、正当事由の有無については自己使用の必要性のほか、賃貸人賃借人それぞれの事情、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況、建物の現況、立退料の提供など様々な要素から総合的に判断します。
今回は、賃貸人が東京勤務となっていることや現在アパートを借りて生活をしていること、大阪勤務の間だけやむを得ず賃貸するに至った経緯などがあり、一方賃借人側にこの建物の利用でなければならない特別な事情がないのであれば、賃貸人側による自己使用の必要性が大きく更新拒絶の正当事由があると認められやすいと思われます。
そして、一定の金額の立退料を支払うことによって正当事由が補完されるものと思われます。

正当事由⑦ 建物の老朽化や建替えをする場合①
質問
アパートの建物が古くなったので取り壊し、マンションを新しく建設しようと考えています。
借家人に立退いてもらうには正当事由が必要と聞いていますが、土地の再開発や建物の老朽化という事情はどのように判断されますか?

答え
賃料が低く効率の悪い老朽アパートを賃貸マンションに建替えたいという事例はよく見受けられます。
都心の一等地であることが再開発の必要性に大きく影響し、建物の老朽化も手伝って正当事由を認めた判例があります。
しかし、建物の老朽化により倒壊の危険があるような建物であっても、建物の老朽化だけの事由で正当事由を認めるのは困難である場合もあります。
建物の老朽化を正当事由とする場合には、賃貸人側の具体的な利用計画が必要となる場合もあるように思われます。

正当事由⑧ 建物の老朽化や建替えをする場合②
質問
私は1階を店舗として賃貸し、2階に自らが居住している木造2階建の建物を所有しています。
建物が老朽化しているので5階建てのビルに建替えることを考えていますが、1階を自ら使用する店舗として、2階を居住用として使用することを考えています。
このように、店舗として営利目的で賃貸している建物について、賃貸人が店舗兼住宅として建物利用を計画している場合、正当事由はどのように判断されますか?

答え
店舗のような営利目的の賃貸借の場合、居住目的の建物の賃貸借の場合に比較して、賃借人側の営業のための顧客基盤や立地などの営業条件、代替物件の取得の困難性が勘案され、立退料についても、営業補償的な側面がプラスされることが多いです。
中には、立退料によっても正当事由を補完できない場合もあります。

正当事由⑨ 建物の老朽化や建替えをする場合③
質問
賃借人は八百屋を営んでいまが、その建物の老朽化が著しく倒壊の危険さえある状態です。
そこで、取り壊しのために賃貸借契約の解約の申入れをしたいのですが、店舗として利用されているので、正当事由を補完するために立退料の支払いは必要ですか?

答え
賃貸人側の自己使用の必要性がなく、賃借人の建物使用の必要性が高い場合に該当しますが、建物の老朽化が著しく、使用に耐えうる状態でないことや、八百屋の販売のみで賃借人が生計をたてていないと認められる事情が考慮され、立退料なしで正当事由がある認められ賃貸借契約がが解除できたものもあります。
正当事由の有無の判断、立退料の必要性については個別事案によるものと思われます。

正当事由⑩ 賃借人が近隣住民とトラブルをおこす場合
質問
私は倉庫を古紙回収業に対して賃貸してますが、その倉庫の周辺の住民から塵、悪臭について苦情が出ています。
建物の賃貸借契約の解除をしたいのですが、賃貸物件の周囲の住民からの苦情が、契約解除の正当理由として認められますか?

答え
賃借人の営業から生じる弊害により、賃貸人が直接公害ともいえる被害を受けている場合には、正当事由が認められやすいと思われます。
また、間接的に地価の下落等の被害を受けている場合にも正当事由が認められやすいと思われます。
しかし、賃貸人が金銭的不利益を受けておらず、周辺住民から苦情を受けているにとどまる場合には、明け渡しを求めることは難しいと思われます。
被害の程度によよりますが、公害発生が重大な場合には正当事由が認められることもあると思われます。

契約終了のその他の問題① 転貸借契約の終了
質問
そのアパートの1室を賃借していますが、その賃貸借契約は不動産業者が所有者から一括してすべての部屋を借り受けている、いわゆるサブリース契約になっています。
アパートの所有者から通知があり、「不動産業者が家賃を支払っていないので不動産業者との賃貸借契約を解除した。
従って、建物の明け渡しを請求する。
」という内容のものでした。
私は、不動産業者に対して家賃を支払っていたのですが、明け渡さなければならないですか?

答え
今回の賃貸借契約は、アパートの所有者が不動産業者に賃貸し、不動産業者があなたに対してアパートを転貸しているという法律関係になっています。
転貸借契約は、不動産業者のもっていた賃借権を前提として成立していることになるので、、アパートの所有者が不動産業者との賃貸借契約を解除した場合、不動産業者の賃借権は無くなり、あなたと不動産業者の間の転貸借契約も自動的に終了することになります。
土地の賃貸借契約ですが、賃料に関して最高裁は「適法な転賃貸借関係が存在する場合に、賃貸人が賃料の不払いを理由に契約を解除するには、特段の事情のない限り転借人に通知等をして賃料の代払いの機会を与えなければならないものではない」としています。
(最判平成6.7.18)
従って、所有者と不動産業者との賃貸借契約が賃料不払い等の債務不履行で解除された場合は、アパートを明け渡す義務があるといえるでしょう。

契約終了のその他の問題① 賃借人が破産した場合
質問
賃借人が破産してしまった場合、賃貸借契約を終了させることは法律上可能ですか?

答え
賃借人に賃料の不払い等の債務不履行があれば、賃貸借契約を解除することができます。
しかし、債務不履行が無い場合には、破産のみをもって賃貸借契約を終了することは無理だと思われます。

契約終了のその他の問題① 賃借人が行方不明の場合
質問
数ヶ月間家賃の滞った賃借人が行方不明となってしまいました。
アパート内の荷物を処分して、次の賃借人にアパートを貸すことはできますか?

答え
賃借人の荷物を勝手に処分することはできません。
法律の規定に則らずに、自分勝手に自己が所有するであろう権利を行使することは自力救済となり禁止されています。
この場合には、建物明け渡し訴訟及び強制執行として、法的手続きが用意されています。
手続き的には、賃貸借契約を解除し、訴訟において建物明け渡しの判決を取得します。
次にその判決に基づいて、執行官が建物内に入り荷物等の残置物を運びだし、空っぽの状態で賃貸人に引き渡すことになります。

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